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弘前の雪景色

2016.03.12 (Sat)


ひがし茶屋街の鮨処「みつ川」。
驚く程増えた旅行の皆様の喧騒、
ちょっと離れただけで、避けられて、やっぱり、ほっとしますね。

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ここに越してこられて、もう、何年になるのかなぁ。
よし君に初めて連れられて行った前の店、
その味と、お店の雰囲気に魅せられて、
今のところに新しく移った後も、主人と二人で夜にゆっくりと、
それから、桐子さんたちとランチでも、よく来てるんですよ。
最近は「鮨 歴々」って、姉妹店を近江町に出されてもいるんです。
ご主人、まだお若いのに、すごいなって、思います。

遅れたら申し訳ないからって、随分、早めに着いたのに、
前と同じで、お店に続く細道への入り口で、
爽やかな笑顔見せながら、小さく手を振ってくれてました。

「すいません、いつも、無理言って」
そう言って、私の盃に、石川県のお酒「黒帯」を注いでいただきました。
気持ちよく磨き上げられた広めの清潔なカウンター、もうそれだけで、気分がいいんです。

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「そんなことないですよ。京都では、ありがとうございました」
「本当に良かったんですか、今夜」
「えぇ、主人出張なんですよ。富山に」
そう言って、お酒、お注ぎしましたよ。
なぜだか少しだけ、手、震えているのわかったかしら。

「ご主人のいないそんな夜に、誘ってしまって」
「今夜逢うって、話してありますから」
私、ちょっと、微笑んで、盃い、くちびるに当てました。

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この「みつ川」で、初めてお逢いした時のことや、
東京で案内していただいたスカイツリーでの夜、
そして、紫式部のお墓に連れて行ってもらった夏の京都、
その時のことが話題なって、楽しい語らいでした。

「弘前も良かったですよ」
「あぁ、秋に行かれたんでしょ、コメントに書いてあったわ」
「紅葉も良かったけど、今頃は、雪景色が素晴らしいでしょうね」
「私、青森って、行ったことないんですよ」
「そうですか…、どうです、ご一緒に」
「えっ!」
「雪景色に囲まれた露天の温泉、そして、じゃっぱ鍋」
「まぁ、素敵。いいですね」

そう言いながら、蔵元さんのお酌、もう一度受けると、
そっと、目を閉じたのでした。

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柔らかな餅雪、白い裸の肩に、そっと落ちたのが分かりました。
もう一度、タオル、胸元に当て直しましたが、
隠し切れない、恥ずかしいところ、見られちゃいそうです。

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東屋に目隠しの板を張った、露天風呂のすぐ傍らにある女性用の更衣室、
浴衣を脱いで、そこから、そっと出たつもりでしたが、
それまで、聞こえていたと思えた人の声、
急に静かになったような気がしました。

黒い平たい岩で作られた数段の階段が、湯船の中にまで入り込んでいて、
そこまでいけば、白濁した温泉に浸かれるのだから、
裸の身体、見られることないんだけど、
なんだか滑りそうで、一歩ずつ、ゆっくり降りるしかなかったんですよ。

薄茜色のおぼろげないくつかのライトの光が、
いくらか葉の残った落葉樹に囲まれた、広い岩風呂をぼんやり差していましたが、
その中に、数人の人影を見ることができました。

でも、傍らの手すりに右手を添えたので、
タオルの端がずれてしまって、胸、あからさまになっちゃったんですよ。
やだぁ、もぅ。
でも、温泉だから、仕方ないですよね。

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あぁ、いい気持、それほど熱くない白い温泉のお湯、いつまでも入っていられそう。
あら、岩陰の方から、手招きしてるわ。
私、自分の身体に注がれるいくつかの視線を感じながら、
肩までお湯に浸かったまま、ゆっくりと、近づいたんです。

「あぁ、恥ずかしかった」
「君の裸、近くでしっかりと見られたんだから、男性には幸いだったよね」
「やだぁ、そんなこと、言わないでくださいよ」
「仕方ないよ、温泉なんだから」
そう言うと、それまで離れていた二人の肩が近づき、そっと、肌が触れ合ったんです。
「いいでしょ、雪景色の温泉」
「えぇ、本当に、連れてきていただいて、良かったです」

広い岩風呂の周りは、たっぷりとした雪景色、
その雪を茜色のライトがうっすらと照らしていました。
時々、黒々とした樹々の闇の間から、しずり雪の音が聞こえてきて、風情ありましたよ。

そっと、裸の肩を抱き寄せられました。
えっ!って思いましたが、抗いはしませんでした。
乳白色のお湯の下に、タオルで隠し切れない乳房がいくらか透き通って見えていましたが、
その揺れるタオルの横から、そっと、手のひらが差し込まれると、
ゆっくりと、その柔らかさを包み込み始めていたんです。

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身体の芯に、赤いものが湧き上がる様に感じて、
私、その手のひらの動きに応えるように、後ろの岩に身体預けたのです。

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あご先を少しだけ仰け反らせると、
うっすらと開いた視線の彼方の先に、
日頃街では見ることのできない、煌く満天の星空がありました。
そして、膨らみを這っていた指先が、固くなりだしていた乳首に触れたそのとき、
今まで、見たこともないような大きな流れ星、その漆黒の空を鋭く分けるように走ったのです。

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12:29  |  「順子の日記」  |  Trackback(0)  |  Comment(11)

Comment

ごぶさたしておりました

弘前の事、ついに登場してしまいました。
でも、現実よりもはっきりとその情景が思い浮かぶ順子さんの文章には、いつも感心させられています。
みつ川から始まった順子さんとの時間は、本当にいつも胸が一杯になるような素敵なひと時。中々そうした時間を過ごせる方はおられません。人生は一度(本当はそうではありませんが、今度詳しくお話ししますね)、充実して過ごすことの大切さ、しみじみ感じます。これからもどうぞ素敵な文章を楽しみにしています。
今年もまた、庭の池にカルガモの番がやって来ました。間もなく、子鴨に会えるのではと毎日楽しみにしています。
今月は何かと慌ただしく過ごしております。
コメント中々できなくて、申し訳なく思っておりますが、何時も楽しみにしているんですよ。ではでは。
寅之助 |  2016.03.15(火) 08:10 | URL |  【編集】

こちらの方(HP) が

落ち着きますね。
昔から見ていたせいかもしれませんが。
寅之助さん!みんなの順子さんを独り占めってずるくないですか(笑)
僕が親衛隊1号のつもりだったんですが。
でも、寅之助さんのようにしゃれたコメントもスマートなお誘いもできないので、仕方ないかなとは思っています。オスとしても負けていますしね。

ご主人は自分の女房がこんなに多くの人にモテているけど最後には自分の所に帰ってくるんだという優越感に浸っているんでしょうね。僕にはイマイチ理解出来ないけど。取り返しのつかない事にはなって欲しくはないですね。あくまで、ハッピーエンドで。
にせ医者 |  2016.03.15(火) 08:49 | URL |  【編集】

みつ川から始まった時間

寅之助さん、こんにちは。
コメント、ありがとうございます。

久し振りのコメント、嬉しかったです。
ライブドアからFC2に戻って、皆さんともう会えなくなるのかなあって、寂しくしてました。

弘前のお話し、読んでみてくださいね。
気を悪くされたら、ごめんなさい。

人生は一度(本当はそうではありませんが、今度詳しくお話ししますね)、
寅之助さんのお仕事を考えると、
そんなふうに教えていただければ、
幸せなのかなあって、思います。

コメント、ありがとうございました。
また、お願いします。
順子 |  2016.03.15(火) 12:43 | URL |  【編集】

みんなの順子さんを独り占め

にせ医者さん、こんにちは。
コメント、ありがとうございます。

「みんなの順子さんを独り占め」
そんなことないですよ。
私、皆さんのものですから、大丈夫です。
確かに、随分長いお付き合いになりますから、
そんな風に、思われる方、
いらっしゃるかもしれませんが。

最後には自分の所に帰ってくるんだという優越感。確かに主人そんな風に思っているんだろうと、思います。
私が、どうしようもなく、主人のこと、
愛していること、わかっているんですよね。

コメント、いつも、ありがとうございます。
また、お願いしますね。

順子 |  2016.03.15(火) 14:35 | URL |  【編集】

なんだかなぁ、、

弘前の話、
要は、寅之助さんという方と、みつかわで食事して、そのままか、あるいは日を変えてか、お二人で旅行をされた、ということなのですね。

まぁ、にせ医者さんは上品に言われていましたが、他の男性との話の時にはなかったあまり愉快ではない感じはなんなのかな、と考えていました。そしてそれは寅之助さんが読者だからということではなく、あえてこの掲示板に「これ見よがしに」順子さんへのメッセージを投稿される無粋さなのかな、と思ってしまいました。
和を重んじる方と書かれていましたが、そうであれば、メルアドなども交換されているのでしょうから、なにもここでやりとりされなくてもいいのに、、。
興奮や嫉妬とはなにか違う感じです。
こんな感情はわたしだけなのかなぁ。
らくよう |  2016.03.16(水) 03:40 | URL |  【編集】

あまり愉快ではない感じ

らくようさん、おはようございます。
初めてでしょうか、コメント、ありがとうございました。

ごめんなさい、気を悪くされたみたいで、
それに、寅之助さんにも、ご迷惑になったみたい。
寅之助さん、そんな方じゃなくて、細かいところにも気を使っていただく素敵な方です。
私の書き方が悪かったんだと、反省してます。
メールも交換はしてるんですが、秘密にしてたら、なんだか、それもいけないような気がして、私が寅之助さんに言って、できるだけコメントに書いていただいています。

コメントに書いていただいている方と、
実際にお逢いするの、そんなには多くないんですけど、
せっかくだからって、その時の様子、書かせてもらっています。
でも、いろいろとご迷惑がかかるかもしれないから、
控えた方が、いいのかもしれませんね。

コメント、ありがとうございました。
今後とも、ご意見、宜しくお願いしますね。

順子 |  2016.03.16(水) 07:21 | URL |  【編集】

ご迷惑おかけしました。

にせ医者さん、メールありがとうございました。

大切なご意見、ありがとうございました。
今後、気をつけたいと思います。

また、私の街にいらっしゃるんですね。
あぁ、お一人ではないとのこと、
どこかで、ニアミスしても、
お互い、知らない素振りでいましょうね。
ふふ。

メール、ありがとうございました。
こんなこと書くこと、
皆さんに、嫌われることなのかなぁ。

順子 |  2016.03.16(水) 10:40 | URL |  【編集】

そこが、、

順子さま

その無垢なところが順子さんの良いところでもあると思うのですが、、

想像申しあげるに、一般読者の知らないところで、にせ医者さんから「順子ファンの読者は、⚪︎⚪︎のような子どもじみた感情をもつものです。ご留意を!」など、何らかの助言メールをいただいたのですよね?

そのお返事(のみ)をこの掲示板に書かれるかなぁ、という違和感です。

もちろん、順子さんのブログですから自由なのですが、、。

うまく伝わらなかったらごめんなさい。

らくよう |  2016.03.16(水) 23:54 | URL |  【編集】

その無垢なところ

らくようさん、おはようございます。
コメント、ありがとうございます。

えぇ、返信だけをコメント欄に書くこと多いですよね。
やっぱり、いけないことなのかなぁって、
思いますが、ごめんなさい。

私の立ち上げたブログなのは間違いないんですが、その後は、読者の皆様や、コメントを書いていただいている方々に、助けられながら続けていることも間違いないことで、
いろいろと、気を付けなければって、
そう思います。

ご助言ありがとうございました。
今後、気を付けながら続けていきたいと思います。
順子 |  2016.03.17(木) 07:06 | URL |  【編集】

Re: Re: 旅情感溢れる内容にうっとりです


> 楽太郎さん、おはようございます。
> メール、ありがとうございました。
>
> いろいろと、おほめ頂いて、ありがとうございます。
> 自分の文章に自己嫌悪に陥ることも多くて、
> 楽太郎さんからの言葉、励みになりました。
>
> えーと、これ、このまま送信したら、
> コメントの載ってしまって、ご迷惑になるんですよね。
> ごめんなさい、使い方、わからないところがあって。
>
> コメント、ありがとうございました。
> 今後とも、よろしくお願いします。
順子 |  2016.03.17(木) 07:22 | URL |  【編集】

日航ホテルで飲んでます
にせ医者 |  2016.03.17(木) 21:24 | URL |  【編集】

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