FC2ブログ
08月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫10月

山城温泉3

2018.09.24 (Mon)


140527a_0006-580x829.jpg

「まぁ、お綺麗な方ね」
そう言って、湯船に身体を浸したご婦人、ふくよかな白い肌が素敵でした。
九谷焼のアートパネルが設えてある内風呂、
山城温泉のとろりとした泉質に抱かれて、その見事な焼き物の壁を眺めているだけでも、
本当に癒される時間でしたよ。

「さっき、廊下で話されていたのご主人でしょ、美男美女のご夫婦なのね」

東京からご夫婦で北陸旅行に来られているというご婦人、
豊かな胸元にお湯を掛けながら、暫くお話をされていましたが、
まさか、目の前の私が、夫ではない男の人と、ただならぬ時間を過ごすかもしれないこと、
もちろん、思われるはずもなかったでしょうね。

53670291300000001.jpg

「風呂から戻って暫くしたら、食事前に一度、部屋にお邪魔するよ」
「駄目ですよ、困りますから」
「いいだろう、僕たち、もう、他人じゃないんだから」
「そんなこと、言わないでください」
「部屋に入ってきていいんだったら、ルームナンバーに射してある花を、抜いておくんだよ」

E5BB8AE4B88BE381AEE88AB1.jpg

お風呂から部屋に戻ると、当たり前のように鍵、掛けました。
ドアに飾ったあった可愛らしいお花は、そのままにしておきました。
開かないドアのノブを手にしたNさん、どう、思うかしら。
でも、それは、彼の妻ではない私がしたことだから、
諦めてくれるかしら。

始めてお逢いした、クルーズ説明会の夜。
薄っすらと街の灯が忍び込む、人目を避けたフロアーで、
成り行きのままに重ねあってしまったくちびると唾液の味を、
そして、胸元に忍び込んできた彼の手の感触、なぜだか急に思い出され、
浴衣の胸元に手のひらを当てた私、
まぶたを閉じると、小さな息、そっと漏らしてしまっていたのです。

010120.jpg

広い玄関、踏込、気持ちの良い畳の上を裸足で歩くと、
素敵な和室とツインのベッドルーム、
そして、露天風呂を備えたテラスの向こう側には、
やがて、穏やかな夕陽が染め始めるだろう、山城温泉郷の落ち着いた街並みが、続いていました。

私ひとりのために、いえ、もしかしたら、自分と私との時間のために、
こんな贅沢なお部屋を予約してくれたNさん、
やっぱり、申し訳ない気持ちと、彼の笑顔がこころに湧き上がり、
ルームナンバーに飾ってあったお花、もう一度、目に浮かべてしまっていたのです。

ダウンロード

関連記事
09:41  |  「順子の日記」  |  Trackback(0)  |  Comment(15)
 | HOME |